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2話 闘技大会エントリー

ผู้เขียน: 雪白ましろ
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-11-27 21:25:22

「うちはこの辺じゃ珍しい風呂付きさ」

なんと、この街の宿で風呂など全く期待していなかったのだが、これは何ともありがたい。

「手伝うよ」

「遠慮するよ、そんな大荷物、ここまで大変だったろう?

部屋で風呂と飯が用意できるまでゆっくりしてな」

「お部屋はこっちだよ」

「そこはこちらになります、だよ!まったくもう」

呆れた声色で苦笑いした女店主。

「悪いね、旅のお人よ。まだ子供だから多めにみておくれ」

「気にしてないよ」

「もう!二人とも子供扱いして!ふんだ」

怒りながらも案内のために店主の娘が二階に向かって階段を上がると、

木でできた階段が少し軋む音がする。

築年数を感じさせるような雰囲気で、彼の持っている荷物を背負ったままでは、

間違いなく床が抜けるだろう。

だが、床は抜けず足取り軽く店主の娘についてゆく。

床が軋む音もさほど気にならない大きさだ。

その様子を見ていた女店主が思わず溢す。

「鍛えているんだねぇ」

実際のところ鍛えていることは間違いないのだが、本当のところは単純に鍛えているだけではない。

部屋に到着し、なるべく床に重さが分散されるように荷ほどきを済ませる。

(先に風呂か、はたまた飯か)

と考えながら、出されたコップに入った水に魔力糸を接続させ、

空中で形を変化させる遊びで時間を潰す。

変化のパターンが五十を超えた辺りで一階から風呂の準備ができたと声がかかる。

空中に漂っていた水を口に飛び込ませて飲み込んでから下の階へと向かう。

脱衣所のようなところではご丁寧に洗濯物を入れる籠まで置いてあった。

さっと籠に服を丸めて突っ込み、久しぶりに落ち着いた状態で風呂に入れる。

野宿中も川の水を固定させ形状を維持するなどの工程がとにかく多い。

維持にも少なからず神経を使うことから、全く魔力操作を必要としない風呂はとにかく貴重なのだ。

「はぁ~」

と思わず声が出る。

すると籠を回収しに来た店主の娘が

「おじさんみたいな声出してる」

と笑いながら声の主が遠ざかるのをしり目に

(失礼な)

と心の中で抗議するのであった。

風呂を済ませ、用意された部屋着に着替える。簡素な作りだが、意外にも着心地がよかった。

「さっぱりしたかい?」

「おかげさまで、いい湯だったよ」

「それはよかった。さあ、飯の用意もできたよ!腹いっぱいになるまで食べな!」

満足したような顔つきで女店主が笑う。

「頂きます」

うっかり魔力糸で食器を操作しようとするが、自重する。

文化の違いはあれ、食器を空中にフワフワしながら食べる奴はこの世にいないだろう。

出されたメニューはスタミナがつく肉系とちょっとしたサラダ、

ブドウのような甘みのある飲み物と、

いったいどう仕入れをしているのだろうかと疑問になるが、

サラダ料理も新鮮ではないが古くもない、普通においしかった。

「ありがとう、ご馳走様」

「あいよ!お粗末様」

店主の娘が空になった食器を片付けていく。

(将来はこの子が二代目店主にでもなっているのだろうか)

なんてことを考えてながらも自室に戻る。

せっかくのいい宿屋だ。

どうやら他にも何人か宿泊している客がいるようだが、今日は早めに休むとしよう。

久しぶりのベッドでの睡眠は、思いのほか早く彼を空想の世界へと誘った。

彼の朝は今日も早い。日の出と共に自然と目が醒める。

普段なら眠い目をこすって朝食を準備しに行くが、今日から数日は少なくとも必要ない。

大会もあと二日とあっては、軽く剣でも振っておきたくなるものだ。

服を着替えて庭へと向かう。昨日店主に朝、庭を使わせて欲しいと頼んだ時に

「おや、あんたもかい?精が出るね。うちの庭は好きに使っていいから」

と言われていたので、もしかしたら先客がいるのかもしれない。

彼の予想は当たっていた。

動きやすい白の訓練服のような装束に身を包み、剣を振る度に滴る汗が朝日に反射している。

なびく鮮やかな金髪は後ろで一つに纏められ、柔らかく風に揺られながらも、その表情は真剣そのもの。

彼女の邪魔をしては悪いと考え、意識の外に位置取り自前の木剣を片手に素振りを開始する。

最初は右手で二十回、上段から振り下ろした後に左手に持ち替えて更に二十回。

これもまた上段に構えて振り下ろす。

合計四十回ほど振り終えてフーっと息をつくと、

少し離れて同じく素振りをしていた彼女がこちらを見ていた。

特に話しかけてくる様子もないので、一瞬目が合った後にお互い目を離し、朝の鍛錬へと戻る。

準備運動はこれくらいでいいだろう。

始めは片手で振っていたのを両手に持ち直し、

右上段から左下段へ木剣が加速しきるタイミングで力を加える。

木剣とはいえ多少の重みはある。しかしそれを感じさせない速度で振り下ろされた木剣は、

片手で振っていた時とは明らかに違う、剣が発する音色とは異質な音が響き渡る。

振り下ろされた剣は地面付近で急停止し、

代わりに舞い上げられた砂埃は彼の出した剣圧を物語っていた。

両手での素振りが丁度終わった頃、すでに朝日はオレンジから白へと変わり、

表には人の気配が溢れていた。

同じく朝練をしていた金髪の彼女はどうやら先に上がっていたようだ。

「お兄さーん?朝ごはんできていますよ!」

大会まであと二日、今日は出場者としてエントリーするために闘技場まで足を運んでいた。

だが、向かっている途中に冒険者のようなイカニモな奴らから声を掛けられる。

「おい兄ちゃん。そんなナリしてまさか大会に出るってんじゃねぇだろーな?」

「ソンナマサカー」

と適当に返答し、その場を後にする。本当ならここで

「だったらどうする?」

とでも返してやりたいところだが、今はエントリーに急いでいる。

エントリーが済んだらもう昼だろう。

今日はそれだけではなく、昼過ぎからも予定があるのだ。

正直こんな暇人に付き合っているほど、彼は気が長い方ではなかった。

しかし、どうやらそれだけでは満足されなかったのか、

腰抜けのカモだと思われたのか、力任せに彼の肩をリーダー格の男がつかんだ。

「待てよ兄ちゃん。ちょっと俺たちと遊んでいけよ。

こちとら明後日の大会まで我慢できないんだよ、終いにゃボロ雑巾になってくれや」

どうやら大会出場者だとばれてしまっているようだ。

肩を掴まれた時にゴロツキから流れる自然魔力すら感じ取れない。

ゴリゴリの近接系といったところだろう。

それを金髪の女性が怪訝そうな表情で彼とゴロツキとのやり取りを見ていた。

相手は複数。純粋な力だけなら自分と同程度の力を持っているかもしれないと感じた彼女は、

少し心配そうに見守っている。

しかし、朝練で見たあの剣と振り下ろされた時の「音」

只者ではないようだが、彼もまた大会出場者。勝ち上がれば自身の障害となるだろう。

偵察の意味も込めて彼が連れていかれた路地裏へと足を運ぶ。

彼はあの角を曲がったところにいるだろう。

物陰から見つからないように彼の行方を追いかけるが、喧噪はまだ聞こえてこない。

やっと追いついて彼のやり取りを見ようと、

曲がり角から顔だけ出して確認した彼女は信じられない光景を目にした

なんとゴロツキ達が音もなくすでにやられていたのだ。

「嘘!?」

と思わず声が出る。

彼女が彼から目を離した時間はおよそ五秒と言っていい。

その間に全員を逃がさず、かつ迅速に倒してしまったのだ。

彼の姿はもうそこにはない。

(私の存在に気づいて、手の内を見せないように身を隠された?)

彼女の表情が更に曇る。

やはり只者ではなかったと自分の考えを肯定すると同時に、

楽に優勝できると考えていた大会が、一杉縄ではいかないことが証明された。

「受付完了いたしました。Bブロックの八番です」

大会のエントリーを終えた後に、先ほど後をつけてきた彼女が大会エントリーにやってきた。

また一瞬お互いに目が合うが、朝練で目が合った時とは全く違う、

探るような視線を彼女から感じ取っていた。

またお互いに目線を反らし、彼女は行ってしまったが、

宿が同じならまた会うこともある。警戒されている相手に頻繁に会うのは面倒だ。

「Aブロックの二番になります」

「ありがと」

彼女もまた大会エントリーを済ませ、彼がいた後ろを振り返るが彼の姿はもうなかった。

大会前日は街が騒がしかった。

どうやら大型の魔物が街の近辺に出没したらしく、

大きな岩山が一つ消し飛んでいたらしい。

付近に魔力反応もあったことから、衛兵たちが広場に集結させられている。

しかし、頭数が少ない。

仮に討伐することを考えているのならばあと三倍は人員が欲しいところだろうが、

魔物のランクが高ければもっと人数が必要になることは間違いなかった。

衛兵の年齢も老いたものが多く、どうにも覇気を感じられない。

街ゆく人々は呑気なもので

「明日の闘技大会はどうなるのか」

「中止だけは勘弁してくれ」

など大会のことで頭がいっぱいだ。

寂れた街での少ない娯楽として、闘技大会の価値の高さが伺える。

「おう!今日も早いね!」

洗濯物を干すために二階へやってきた女店主と鉢合わせになる。

「庭、また使わせてもらうよ」

「好きに使っておくれ。それよりもアンタ、ここ近辺に魔物が出たって知っているかい?」

「いや、初耳だ。規模はわかるのか?」

闘技大会を明日に控え、前日に魔物騒ぎはこちらも困る。可能なら障害は早めに対処したい。

「これが分からないんだってよ。町の衛兵が調査に行くらしいけど、心配だね」

「そうか、ありがとう。こっちでも様子を見てみるよ」

「無理するんじゃないよ」

朝の鍛錬には昨日に引き続き金髪の彼女がいたが、やはり会話は無かった。

軽く済ませて、準備していた衛兵に話を聞く。

やはりというべきか、衛兵にも話を聞いたが一度調査をしてみないことにはわからないようだった。

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